論文:有酸素運動の限界は筋肉の消耗では決まらない?

人間の運動の限界について興味があります。運動しているときに、もう駄目だと力が出なくなる点のことです。前までは、筋肉の消耗が起こって運動限界になるとされていましたが、そうではないという2010年の論文を読みました。

 

論文情報

The limit to exercise tolerance in humans: mind over muscle

Samuele Maria Marcora他著

European Journal of Applied Physiology 109, pages763–770(2010)

リンク

The limit to exercise tolerance in humans: mind over muscle? | SpringerLink

 

まとめ

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有酸素運動の限界を推測する実験

 

感想

運動の限界は体の状態ではなく、頭が限界以上に努力したと思ったことで決まるとのことです。(<努力>というのが正確に何なのかはわかりませんでした)

確かに、脳が体の状態を全てモニターして限界を感じていたら、大変です。時間遅れもあるかもしれません。また、ある程度安全率を見ていないと、手遅れになって、体が損傷するかもしれません。

もしきついとなっても、まだ行けるということでしょう。

パイオニア自転車関連事業の終了2 どんな特許がある??(特許第5490914号)

イオニアの自転車関連事業について前回に続いてまとめてみます。特許をピックアップしてまとめます。

ここでは特許第5490914号についてです。

特許の概要

【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)

【発明の名称】測定装置及び測定方法

特許権者】パイオニア株式会社
【発明者】
    児玉 泰輝
    藤田 隆二郎
    塩田 岳彦
    亀谷 隆真

位置づけ

前回抽出した19件の特許のうち、この特許以前の出願は、「風検出装置」のようにペダリングモニタのコンセプトとは異なっているように見えます。

そこで、現在につながる最初の特許として、この特許をピックアップしてみました。

請求項1

ユーザによる力をクランク及び1つ以上のギアのうち選択された1つのギアで伝達する人力機械の前記クランクの歪を検出する歪検出部と、

前記クランクが一定位置を通過したことを検出するセンサと、

制御部と、を有し、

前記制御部は、

前記センサが検出した前記クランクが一定位置を通過した時間からの経過時間によって前記クランクの回転角度を算出し

前記歪検出部が検出した前記クランクの歪量から前記クランクに加わる力を算出し、

前記回転角度と前記クランクに加わる力との対応を算出することによって、ユーザが加えた力の分布状態を算出する

人力機械に加わっている力の測定装置。

分析

修正の有無

 出願時と登録時で請求項1の文面は全く変わっていません。

クレーム

 クランクの歪から力を計算して、回転角度毎に表示するというパイオニアの商品の特徴について権利化されている特許でした。

 

 赤字の部分に注目します。クランクがある場所を通過してからの時間で回転角度を算出している様です。

商品もそうなっているかは不明ですが、知りませんでした。低コストで実現可能な方法だと思います。一方で、当然精度はよくないですが、実用上問題ないレベルという判断をしているのだと思います。

ただ、この部分の手段についての記述は不要な気がします。時間以外の手段でも回転角度を算出できるからです。限定しないと権利化できなかったのでしょうか?

 

クランクの回転角度位置毎に力を分析する装置は、本特許以前にも存在しています。それをクランクの歪と、基準位置の通過からの経過時間で算出した角度によって実現したところが権利化されているということだと思います。

 

感想

 シマノからこの特許を利用した製品が出てくるかはわかりません。

しかし、(一つの特許だけで、ポートフォリオの評価はできませんが)この特許を回避して同じような機能を実現することは不可能ではないと思います。

 

 

パイオニア自転車関連事業の終了 事業の歴史と知的財産概略

2020年 2月 4日にパイオニア株式会社から自転車関連事業の終了が発表されました。突然のことで驚くとともに、大変残念に思います。

jpn.pioneer

2020年2月7日のパイオニア サイクルスポーツfacebookペダリングモニターの生産が終了と発表されており、今後のサポートはパイオニアに残るとされているので、部品や製造設備は移管されないのかなと思います。(もしかしたら製造請負なのかもしれませんが)

おそらく、知的財産はシマノに譲渡されると思われますので、特許について調べてみました。(すべて公開情報からまとめました)

 

事業の歴史

2008年12月 新規テーマとして提案

2010年11月 サイクルモード出展

2011年7月 ラボバンクでのテスト開始

2013年7月 テスト販売開始

2020年3月 販売終了

プロジェクト開始からテスト販売まで4年半かかっています。そこから6年半で事業中止になりました。とても惜しいです。

特許検索

全文 自転車

出願人 パイオニア

発明者 藤田 隆二郎

 

で行ったところ、19件ヒットしました。

出願年

     2016年(1件) 

     2013年(1件)

     2012年(3件) 

     2011年(3件) 

     2010年(10件) 

     2009年(1件)

  2009年から12年までに多くが出願されています。

状態

登録17 放棄1 拒絶1となっています。

登録はすべて国際出願されていますし、維持もされています。期待の大きさがわかります。

 

出願日 題名 生死判定
2016/8/10 測定装置 拒絶査定
2013/1/11 測定装置 特許第5989804号
2012/3/5 回転角度検出装置及び回転角度検出方法 特許第5802825号
2012/3/5 運動用の指標値算出装置、運動用の指標値算出方法、運動用の指標値算出プログラム及び運動用の指標値算出プログラムを記録可能な記録媒体 特許第5857120号
2012/3/5 計測装置、計測方法、計測プログラム及び計測プログラムを記録可能な記録媒体 特許第5815115号
2011/11/2 検出装置、検出装置が取り付けられたクランク及び検出装置がクランクに取り付けられた自転車 特許第5696224号
2011/9/30 パワーメータ、仕事率測定方法、プログラム及び記録媒体 特許第5719936号
2011/9/30 回転角度検出装置及び回転角度検出方法 特許第5739000号
2010/10/29 ペダリング目標設定装置、ペダリング目標設定方法、ペダリング目標設定プログラム、ペダリング目標設定プログラムを記録した媒体 特許第5490917号
2010/10/28 測定装置及び測定方法 特許第5483300号
2010/10/28 測定装置及び測定方法 特許第5483299号
2010/10/26 ペダリング状態検出装置、ペダリング状態検出方法、ペダリング状態検出プログラム、ペダリング状態検出プログラムを記録した媒体 特許第5490916号
2010/10/25 ペダリング矯正補助装置、ペダリング矯正補助方法、ペダリングの矯正を補助するプログラム、ペダリングの矯正を補助するプログラムを記録した媒体 特許第5490915号
2010/10/22 測定装置及び測定方法 特許第5490914号
2010/7/30 風検出装置 特許第5489137号
2010/7/30 風検出装置 特許第5489136号
2010/7/30 風速計測装置 年金不納による抹消
2010/6/17 仕事率計測装置 特許第5639168号
2009/12/2 情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及び自転車用地図 特許第5315419号

 

まとめ

かなり頑張っていたので、何とかうまく行ってほしかったです。

次回は個別の特許についてみてみたいと思います。

 

石見空港岩国空港利用ルート

飛行機を使ってサイクルツーリングするのによいルートを見てみます。

岩国錦帯橋空港(岩国市)と萩・石見空港益田市)を使うルートのコースを見てみました。

ルート結果

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岩国から益田までのルート

岩国錦帯橋空港から萩・石見空港までのコースを見てみます。

地図上にルートを表示し、その高度を数字で表しています。

色は傾斜のきつさです。岩国から益田に向かう方向で見たときに、青系が下り、黄色~赤系が上りです。赤が10%になるようにしていますが、そのような登りはほぼありません。

最大標高も350m程度になっています。

 走行距離は110㎞程度です。

 

岩国空港から錦川沿いを走っていきますが急な登りはほぼありません。

六日市の手前で県境越えになり、山越えになりますが、他の県境越えに比べれば、穏やかなコースに見えます。

六日市から日原までは、ごく小さなアップダウン(青色黄色まだら)はありながらも、基本的には下りという感じの様です。

日原から益田までは清流高瀬川沿いを徐々に下る方向です。

どの向きに進むか?

コースを見ると、石見空港から岩国空港の方がよさそうに見えます。のぼりが緩やかなので、疲れにくそうです。

飛行機の時間を考えると、岩国空港から石見空港への方向の方が時間が有効に使えます。

 懸念点

唯一の懸念点がトンネルです。

路肩が狭く、途中でカーブしているトンネルが何か所かあるようです。

点滅する尾灯など、安全装置は必須だと思います。

飛行機

2020年の時刻を見てみます。

岩国空港へ向かう始発は羽田発6:55分発で9時前には岩国につきます。

   便名   東京発  岩国錦帯橋
  631 06:55 08:40
  633 08:55 10:40
  635 12:00 13:45
  637 16:50 18:35
  639 20:05 21:50

 

石見空港に向かう便は、朝出発が10:35と遅いため、昼過ぎての到着になります。 

便名  東京発  萩・石見着
575 10:35 12:20
1103 15:45

17:25

 

出発が遅い場合には、石見空港利用もありですね。

岩国から東京に帰る便は、

  便名 岩国錦帯橋 東京着
  632 07:35 09:05
  634 09:30 10:55
  636 14:25 15:55
  638 17:20 18:50
  640 19:30 21:00

 

萩・石見から東京に帰る便は、

便名 萩・石見発 東京(羽田)着
576 13:05 14:30
1104 18:05 19:40

となっています。

 

どちらも夜が少し早めですが、秋から春なら問題にならないと思います。

夏なら、もう少し遅いと助かりますね。

運賃

どちらの空港もスーパーバリューなら片道10000円ちょっとで行けるようです。

ただし、萩・石見空港は、東京発の朝便と、萩石見発の夜便の値段が高くなってしまいます。

その意味でも、岩国入りが良いかもしれません。

益田で1泊して、次の日の13:05の便で東京に戻るのが良いと思います。朝夕の航空券の差額で、ホテル1泊分に近いくらいになります。

萩・石見空港の施設

萩・石見空港には「サイクルステーション」なる施設があり、更衣室として無料で使えるそうです。

汗まみれのまま、飛行機にのって顰蹙をかった経験があるので、こういう施設はとてもうれしいです。

分析方法

地理院APIを使って標高データを算出しました。

そこから計算で傾斜を求めています。

原理上、橋とトンネルでは、標高値が正しく取れないために、傾斜の値がおかしくなります。

地図はOpenStreetMapです。

 

© OpenStreetMap contributors

地理院タイル (標高タイル)を加工して作成

道志みち 台風19号による通行止 一部解除

台風19号の影響で通行止になっていた、国道413号線の一部が年末に開通しました。

今後大雨が降らないことを祈るばかりです。

 

 

現状

しかし、通行止区間が残っています。

県道64号伊勢原津久井線の、鳥屋郵便局付近から国道413号までの区間が全面通行止のままなので、宮ケ瀬方面から道志みちに行くルートが通れません。その場合には、国道412号線を迂回して、オリンピックルートを通ることになります。

この区間の412号は、路肩が狭く大型車も多いので、少し怖いですね。

また、1月中旬から青根付近が再び通行止になり工事が始まります。

こちらも下の方へ迂回する必要があります。

 

迂回路傾斜図

このルートの傾斜図を作ってみました。

宮ケ瀬から両国橋に向かう時に上りになる場所を赤、下りになる場所を青で示しています。

図中の数値は、勾配[%]です。

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宮ケ瀬から両国橋 迂回路

 作り方

経路データをもとに、地理院APIで標高をとり、傾斜を計算しています。

原理上、橋とトンネルでは、標高値が正しく取れないために、傾斜の値がおかしくなります。

地図はOpenStreetMapです。

 

© OpenStreetMap contributors

地理院タイル (標高タイル)を加工して作成

多摩川サイクリングロード 走りやすいのは狛江調布側or川崎稲城側4(人とすれ違った場所を記録する)

サイクリングロードの走りやすさを見える化しています。

多摩川サイクリングロードの狛江調布側と川崎稲城側を比較しています。

これまで、路面の状態計測、加減速計測とやってきて、前回は撮影した画像から、人を自動検出して、人を数えました。

今回は画像から検出した結果とGISデータを組み合わせて、地図上に表示してみます。

これによって、人が多いところと少ないところが見えやすくなりました。

結果

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見方

多摩川の多摩水道橋から是政橋までの両岸を表示しています。

 

人を検出した場所にマーキングしました。横の数字は、橋と端の間で数えた人の数です。(0始まりです)

地図は、下が下流で、多摩水道橋、上が上流で是政橋です。

真ん中が多摩川原橋で、その下の多摩川を渡っている線路が京王線の橋です。

どんな感じ?

人が多い場所と少ない場所が分かれています。

狛江調布側

狛江市内の多摩水道橋の近くで人がいないのは、土手の上ではなく、下の車道を使ったためです。土手の上は未舗装部があったり、自転車は土手の下を走るように指示があったりするためです。

京王線の橋の下には、団体さんがいたために、一気に人数が増えています。

京王の橋の下から、多摩川原橋までは、川原を走っていることと、川のすぐ横が車道になっているためか、人が少な目になっています。

稲城大橋を過ぎるあたりまでは、人が多めです。そこから、是政橋までは、少し少なくなっていました。

川崎稲城

是政橋近くは土手の下の車道を走っているために、人が少ないです。土手に上がると、人が増えます。

台風の影響で稲城大橋付近が通行止めになっており、車道で迂回したために人の数が少なくなりました。

多摩川原橋からは、普段であれば、スポーツをするグラウンドもあり人が多いですが、この時は台風の影響が残っており、グラウンドが使えていませんでした。このため人が少ないです。

全般的に台風の影響が残っている時期だったため、人が少なかったです。

作り方

前回のカメラ動画像からの通行人検出プログラムの結果と、当日のGPSデータを合わせて、人とすれ違った場所を特定しました。

その後、地図と組み合わせて、画像にしています。

地図はOpenStreetMapを使っています。

 

© OpenStreetMap contributors

 

 

多摩川サイクリングロード 走りやすいのは狛江調布側or川崎稲城側3(すれ違った人を数える)

サイクリングロードの走りやすさを見える化しています。

多摩川サイクリングロードの狛江調布側と川崎稲城側を比較しています。

これまで、路面の状態計測、加減速計測をやってきました。

今回は撮影した画像から、人を自動検出して、人を数えてみます。

 

 

結果

人物検出

まず、画像から人物を検出します。検出結果はこんな感じです。(人の部分をぼかしています)

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人物検出の結果例

この結果を使って、プログラムで人を数えます。同一人物は2回以上数えないようにしています。

人数は?
区間 狛江 府中側 川崎 稲城
多摩水道橋から多摩川原橋 102 49
多摩川原橋から是政橋 68 21

となり、狛江府中側の方が多い結果になりました。

ただし、この時は、以下の2点の特徴がありました。

  • 狛江に多人数グループがいた

  • 稲城市内の一部が通行止めで人が少なかった

 狛江府中側の方が多く出やすい影響があったかもしれません。