パイオニア自転車関連事業の終了2 どんな特許がある??(特許第5490914号)
パイオニアの自転車関連事業について前回に続いてまとめてみます。特許をピックアップしてまとめます。
ここでは特許第5490914号についてです。
特許の概要
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【発明の名称】測定装置及び測定方法
【特許権者】パイオニア株式会社
【発明者】
児玉 泰輝
藤田 隆二郎
塩田 岳彦
亀谷 隆真
位置づけ
前回抽出した19件の特許のうち、この特許以前の出願は、「風検出装置」のようにペダリングモニタのコンセプトとは異なっているように見えます。
そこで、現在につながる最初の特許として、この特許をピックアップしてみました。
請求項1
ユーザによる力をクランク及び1つ以上のギアのうち選択された1つのギアで伝達する人力機械の前記クランクの歪を検出する歪検出部と、
前記クランクが一定位置を通過したことを検出するセンサと、
制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記センサが検出した前記クランクが一定位置を通過した時間からの経過時間によって前記クランクの回転角度を算出し、
前記歪検出部が検出した前記クランクの歪量から前記クランクに加わる力を算出し、
前記回転角度と前記クランクに加わる力との対応を算出することによって、ユーザが加えた力の分布状態を算出する
人力機械に加わっている力の測定装置。
分析
修正の有無
出願時と登録時で請求項1の文面は全く変わっていません。
クレーム
クランクの歪から力を計算して、回転角度毎に表示するというパイオニアの商品の特徴について権利化されている特許でした。
赤字の部分に注目します。クランクがある場所を通過してからの時間で回転角度を算出している様です。
商品もそうなっているかは不明ですが、知りませんでした。低コストで実現可能な方法だと思います。一方で、当然精度はよくないですが、実用上問題ないレベルという判断をしているのだと思います。
ただ、この部分の手段についての記述は不要な気がします。時間以外の手段でも回転角度を算出できるからです。限定しないと権利化できなかったのでしょうか?
クランクの回転角度位置毎に力を分析する装置は、本特許以前にも存在しています。それをクランクの歪と、基準位置の通過からの経過時間で算出した角度によって実現したところが権利化されているということだと思います。
感想
シマノからこの特許を利用した製品が出てくるかはわかりません。
しかし、(一つの特許だけで、ポートフォリオの評価はできませんが)この特許を回避して同じような機能を実現することは不可能ではないと思います。