本当にきついのはこっち??オリンピック自転車ロードコースの勾配を調査(富士山)地理院API
東京オリンピック自転車ロードコースの勾配を調べています。
今度は富士山付近です。
前回の調査で、是政橋から富士スピードウェイまでは、10%越の場所は意外に少ないことがわかりました。
富士山付近は10%越が続いています。
エバーグリーンラインに入る前から10%以上の場所もあります。
表示方法
青 下り
ピンク 10%以下の上り
赤 10%以上の上り
にしてみました。
作り方
位置情報をもとに地理院APIで高度を取得して、勾配を計算しています。
頂上からの下り基調のところで1か所だけ勾配が大きくなっているのは、トンネルがあるためです。トンネルは、道路ではなくその山の高度を計算してしまうために、値が急変します。
地図出典 国土地理院 https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html
すごい阿蘇山(阿蘇の歴史を衛星画像tellusで見る)
阿蘇山すごいです。
2019年8月現在、噴火警戒のため、2019年4月から半径約1km以内への立ち入りは禁止になっています。
でも前はこんなんじゃなかったような....
火口に水が溜まっています。
地中奥深くまで穴が続いてそうなのになぜ水がたまるのかが不思議ですが、とりあえず置いておいて....
水があったときから、なくなるまでの変化を見てみたくなりました。
そこで、衛星画像を使って、変化の観測をします。
いきなり結果
gifなので色が落ちて画質が悪いですが....
2006年から2009年までは火口に水が溜まっていますが、2010年から干上がってきて、2011年には、ほぼなくなっています。どうやら、水がたまったりなくなったりを繰り返しているようです。
(今回使った衛星のデータは2011年までしかありません)
作り方
使うのは、日本初のオープン&フリーな衛星データプラットフォームTellus。
これを使って火口付近の過去の衛星画像をタイムラプス動画にします。
tellus利用申し込み後、開発環境を申し込みます。
申し込んでから、使えるようになるまで半月ほどかかりました。
tellusにログインして、開発環境に入ります。
ここでAPIを使って、阿蘇山火口データ付近の衛星画像を検索し、とってきます。それから、タイムラプス動画を作るという順序でやっていきます。
APIトークンの取得
阿蘇火口の位置調査
阿蘇の場所を調べます。緯度経度を調べました。
タイル画像の場所も調べなくてはいけません。
国土地理院のタイル座標確認ページで阿蘇の位置を調べます。
使えるデータの調査
今回はAVNIR-2のデータを使います。2006年~2011年、地表面解像度:10mの光学データを利用できます。
min_lat, min_lon, max_lat, max_lonの4引数で
を使って、検索します。(APIリファレンスのAVNIR-2)
36枚の画像が検索されました。
データ取得
検索結果の、rspID, profuctIDと、先ほど調べた阿蘇火口のタイル座標Z,X,Yを使って以下で取り込むことができます。APIリファレンスではpresetを指定しないといけないように見えるのですが、指定しなくてもデータ取り込み可能でした。
リストアップ結果
リストアップされた画像に次の問題があります
-
撮影範囲ぎりぎりで黒い部分が多い画像がある
-
雲量でフィルタリングできない(Landsat-8などできるデータもある)
-
同日に連続して撮影されているのでほぼ同じ画像が続いているときがある
これを取り除きます。
画像を読み込んで、ヒストグラムを作成し、黒と白の範囲が多い画像を取り除きます。
類似画像は、検索結果をみて、日付が近いものは1枚だけ選ぶようにしました。
そうするとかなり減って13枚になりました。
tellusの利用条件
Tellus の二次成果物は元データが復元できなければ、自由に配布可能なようです。
今回利用した、AVNIR-2 では二次成果物への著作権表記も不要となっています。
このページの画像は、すべて、元データへの復元ができない形になっています。
Aso, Kyushu,volcano,tellus
きつすぎる??東京オリンピック自転車ロードコースの勾配を調べる
東京オリンピックで、最も長い距離を移動するのは、自転車ロード。府中から富士スピードウェイまでです。獲得標高:約4,865m 。
2020年7月25日(土)午前11時スタートです。
選手強化委員長の中野浩一さんが「もう少し日本人選手にやさしいコースにしてもらいたかった」といったほどのやりすぎなコース設定。
その、コース(是政橋から富士スピードウェイ)の勾配を調べました。
赤い線で勾配のきつさを表示しています。(上向きが上りで下向きが下り)
数字が勾配[%]です。
場所ごとの特徴
序盤
多摩地域はそれほど勾配はきつくありません。むしろ、勾配を迂回しているようにも見えます(下図の黄色△の地点)。是政橋を渡ってすぐの坂が最もきついという結果になりました。
橋本付近は平和なルート。赤い線が見えません。相模川を渡る前後で少し勾配があります。
中盤
道志道に入っても、それほどきつい勾配はなく、何となく上っていく感じです。
道志村の市街地から山伏峠まで、だらだらと登っていき、頂上付近で勾配がきつくなります。
山中湖の北岸はほぼ平坦で、篭坂峠に入りますが、比較的緩やかな坂です。
(本来は、富士スピードウエイからコースは富士山に登りますが、この区間は次回)
終盤
そのあと、明神峠は10%越えの坂が続きます。
最後は山中湖の南岸を通って、篭坂から富士スピードウェイに戻ってゴールです。
作り方
ルートデーターを作成した後、地理院APIで高度を拾いました。そこから勾配を計算しています。
地図出典 国土地理院 https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html
Tokyo Olympic road course Fuji
宇宙から見える日本のすごい風景
宇宙から見た画像で日本をみたときに、すごいと思った場所はどこですか?
自分はこれです。
防風林の幅が180[m]、視力1.0の時には
0.18 / tan(1/60度) ≒ 619[km]
となるので、地上619[km]までならば見分けられることになります。
国際宇宙ステーションは地上400[km]上空なので、見ることができるのはなないでしょうか。
ちなみに、宇宙から見える唯一の人工物は万里の長城という話がありましたが、実際にはほぼ見えないそうです。
そこで、宇宙から見える距離をまとめてみました。
周辺とのコントラストなどはとりあえず考えないことにして、視力1.0で見える距離を単純に計算してみました。
3万6千キロの静止軌道から見えるものとなると、約10㎞の大きさが必要です。瀬戸内海の最も狭い場所で7㎞程度です。本州と四国はつながって見えるかもしれません。
横須賀港を模した中国の軍事施設が見えた(Landsat パンシャープン)
今週のお題「わたしの自由研究」
2019年4月ごろの朝日新聞に、2013年ごろ中国の砂漠に横須賀港と同じ形の施設があったという記事が載りました。
今Google Earthで見ても、画像が更新されていて見ることができません。
そこで、過去の衛星画像を使って見てみたいと思います。
2013年ではsentinel-2が使えません。そこでLandsatを使ってみます。
結果
何か写っているのですが、よくわかりません。そこでパンシャープン画像を作ってみます。
丁度、いい感じに見ることができるようになりました。
突然現れて突然消えているクの字型の部分が、横須賀港と同じ形の構造物です。(下図の〇の中)
3つの白いものは船を模した物体のようです。
分解能は低いですが、見ることができました。
(コントラスト拡張と、色処理もしています。)
この結果から、2013年7月8日から2013年12月15日の間に存在していたことがわかりました。
中国の衛星写真を上下反転して、横須賀港の写真と重ねてみます。 中国施設を線でなぞってそれを横須賀港の上にのせてみました。
Landsat, China, Yokosuka
ハワイのすごい火山を人工衛星から見る
今週のお題「わたしの自由研究」
2018年にハワイのキラウエア火山が噴火しました。その様子を衛星から見る画像を作ってみました。
どこにあるかというと、ハワイ島の南東側です。2018年に溶岩が噴出した地点は、火口から40㎞も離れています。
この噴火では死者は出なかったそうです。
光学衛星の結果
まずは普通の衛星画像。スタートから時間を追っています。
溶岩の先頭から煙が上がっているのが見えます。その後、町がある場所も溶岩が通り過ぎて真っ黒になってしまっています。上の方に港がありますが、すべて溶岩に飲まれています。海に溶岩が流れ出たところからも煙が上がっています。
この画像では、風が海から陸に向けて吹いているのか、白煙が陸地を覆っていて、陸地の状況があまりわかりません。
合成開口レーダーの結果
そこで、合成開口レーダ(SAR)の画像で見てみることにします。SARとは、衛星から電波を発して、その反射を計測する装置です。
SAR画像では雲や噴煙を透過して観測ができます。
溶岩が流れている様子や、港が溶岩で埋められる状況、街並みの様子等がよくわかります。レーダーなので白黒画像で、造影剤を使ったレントゲン写真の様です。
(町並みを見せるために、処理をかけています。)
作り方
画像はsentinel-2, sentinel-1という欧州の衛星の画像です。無料で使うことができます。
google earth engineと自作処理を使って作りました。
Contains modified Copernicus Sentinel data [2018]
キラウエアの溶岩噴出(2018)SARで見えないものを見る
キラウエアの噴火の様子を宇宙から見ています。
前回は光を観測する衛星の画像を作りましたが、噴煙で陸地の変化が分かりませんでした。
今回はSAR画像を使って画像を作成します。
結果
噴煙の影響がなくなって、溶岩の流れがとてもよくわかります。
何度も流路が変化しているのもよくわかります。
血管に造影剤をいれたレントゲンの様でもあります。
住宅地を飲み込んで流れ、その先で海を埋め立てています。
溶岩の流れているときは黒くうつるんですね。黒くうつるということは、電波を前に反射して衛星側に帰ってこないことになります。(水面や海も前に反射するため、黒く見える)
時間がたったら、衛星側にも反射するようになるんですね。
街の様子を見やすくするために、部分的にノイズ除去してあります。街路が分かりやすくなりました。
Kīlauea Island of Hawai volcano SAR sentinel